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GPS衛星からの情報を変調する方式であるSS (spread spectrum) 変調方式(CDMA: code division multiple access方式などともよばれる)は、人工的に作った(真の乱数と区別が付かない)コードである擬似雑音系列に送信データを掛けて送信信号を生成する。 このため、FMやAM変調などに比べて広いバンド幅で低電力で送信でき、秘話性(擬似雑音系列がわからなければデータを復調できない)や秘匿性(白色雑音と区別がつかないため送信していること自体がわからない)、同一バンドを異なる擬似雑音系列で多重利用できることなどの特徴がある。 擬似雑音系列の開始位置の時刻を定めておけば、復調時に精度よく送出時刻を知ることができることも特徴のひとつで、GPSではこの特徴を活かして測位とデータ(衛星の位置・軌道情報やその他の情報が含まれる)の送信を同時に行なっている。 GPS衛星からのL1電波 (1.57542GHz) にはオンラインゲーム されているC/Aコードを擬似雑音系列に用いた信号と、公表されていない擬似雑音系列であるP(Y)コードの2種類の信号が載せられている。P(Y)コードは軍事目的を想定しており、系列の生成多項式の次数が大きい(擬似雑音系列が一巡するのに長時間かかる)ため、精度は非常に高く(16cm程度)、ミサイルや誘導爆弾の誘導に用いられている。 民生用に利用が許されている暗号化されていないC/Aコードのデータを用いると、95%以上の確率で正確な緯度経度から10m以内の座標が得られる程度の精度となる。これは短時間での精度であり、長期間受信し続けることにより精密な測量も可能である。 GPS受信機の測位精度には、原理的な誤差による要因・人為的要因などさまざまな要因がある。ここではその他の不具合も含め列挙する。 下記のうち誤差要因については、GPS受信機である程度推定し表示することができる。GPS受信機がある円内にいる確率が50%であるところの円を、CEP(Circular Error Probability)とよぶ。地図を表示するタイプのGPS受信機では、この円も同時に表示し利用者への参考としているものもある。 GPS衛星からGPS受信機まで電波が達する経路では、電離層や対流圏での電波特性の変化により、若干の電波伝播速度の遅延が生じる場合がある。これによって、計算で定めたはずの空間上の一点の信頼性が損なわれる。一般的に受信機からみてGPS衛星が低仰角の場合、この誤差は増加する傾向がある。これは大気中を電波が伝播するときの遅延による影響が、高仰角 (薄い大気を通過する) よりも低仰角 (厚い大気を通過する)で大きいからである。またそもそもネットキャッシング 角衛星からの信号は減衰が大きい)。 このための補正手段として、正確な時計をもち座標のわかっている固定局を設置し、GPS受信データから計算した位置と固定局の位置の差から、精度を上げるなどの仕組み(ディファレンシャルGPS、Differential GPS、DGPS)も確立されている。DGPSの補正信号は、かつてFM放送の利用されていない帯域で送信するシステム(JFN系列の放送局で実施)があり、カーナビなどでの利用には有用であった(1997年5月〜2008年3月)。また、WAASやMSAS (MTSATを利用した日本の運用) では、静止軌道の衛星からDGPSの補正信号を各受信機に送信している (WAAS/MSAS静止衛星自体もGPS衛星同様、測位にも使われる)。 このほか、ビル街や谷山ではマルチパス (ひとつの衛星からひとつの受信機までの電波経路が反射などによって多数存在すること・テレビのゴースト現象同様)により、信号の時間差が生じたりS/N比が低下し、精度が落ちる。 通常日本(本州)では、理想的に空がひらけている場合、受信可能な衛星は6〜10個程度である。位置の計算に最低必要な4個より多い衛星がみえている場合は、複数の衛星からの情報で測位精度を向上させることができる。それぞれの衛星からの信号強度(S/N比)を観測したりDGPS情報から衛星ごとの信頼度を与え、また4つ組みの取り方をなるべく計算誤差が大きく出ないように取ったり、さらに複数の測位結果の信頼度が低いものを棄却・平均化するなどの方法がとられる。 受信可能な衛星の個数・配置により、電波伝播の誤差が大きくきいてくる場合がある。原理での三脚でのたとえを用いると、三脚の脚が固定の長さではなく、ある程度伸び縮みしたとしよう。すると三脚の頭が動く範囲(推定誤差範囲)は、三脚の脚の開き具合によって異なる。計算に用いる衛星のみかけの位置が接近していると、計算に用いる推定誤差が大きくなる(脚を閉じた三脚ではぐらつきが大きい)。また計算に用いる衛星が一直線に並んでいたりする場合は、ある方向への信頼度が大きく低下する (三脚の脚が並んでいると垂直方向にぐらつきが大きい)。 GPSは原理的には最低4つの仕事 衛星がみえていることが必要であるが、空がひらけていない場合などは、補助手段で精度を向上させることも可能である。 まず、GPS受信機内部の時計が正確な時刻に校正された後の一定時間は、時刻情報は内部の時計を用いて3つの衛星で3次元の位置を知ることができる (#原理参照)。ただしクォーツ程度の進み遅れがあると、これも数分で信頼できない時刻になってしまう。 また、地球の形がわかっており、地表(あるいは一定の高度)を移動していると考えられる場合、さらに1つの衛星からの距離を省略しても位置は求められる。地球の形(平均海面)は球体ではなく赤道付近が膨らんだ回転楕円体であることは知られているが、これをよく近似した3次元曲面(WGS84など)を多くのGPS受信機がデータとしてもっている。 さらに受信機のドップラーシフトを履歴書 すると、C/A信号の1ビット送信時間未満の距離の観測もできる。衛星と受信機の距離が接近または乖離している場合、ドップラー効果により受信周波数の上昇または低下(これは信号の位相変化として観測される)がおきる。これを用いれば、受信機が等速直線運動しかしていないかそれ以外の方向に動いたかも推定できる(1つないし2つの衛星からの信号でもある程度の位置は推定できる)。なお長時間の位相観測によりC/A信号の精度限界以上に精度を上げる方法は、測地用のGPS受信機などでも用いられている。 またカーナビなど大きなGPS受信機では、GPSで初期位置を決定した後は、ジャイロ・加速度センサなどから得られる情報で自律位置推定できるGPS受信機もある。この場合完全に空が塞がれている状態(トンネル内に入ったとき)などもある程度の位置はわかる。航空機の慣性航法装置と同様であるが、精度は3桁程度低いため、数分程度の自律位置推定で測位は大きく外れる。 登山用のGPS受信機では、気圧高度計で高度方向の位置推定の補助手段としたり(GPS信号の信頼度が高いときには逆に気圧を校正したり)、磁気コンパスを併用するものもある。なおもともとGPSでは、高度方向は精度が低い場合が多い。空間の(x, y, z)方向の誤差は均等であるが、前述のようにGPS受信機の多くは地表に沿って動く(地表と鉛直方向には動かない)ため、計算アルゴリズムを工夫して、地表に沿った方向の位置推定の精度を上げる代わりに高度方向の位置推定を犠牲にしているためである。 GIS情報を補助手段として用いる場合もある。カーナビでは地図を搭載しているため、道路情報と照らし合わせることで誤差を修正しているものもある(車は道路以外を走れないという制約を利用している)。 地球上の位置は緯度・経度・高度で特定できるとはいえ、各国が地図を作り始めた経緯により、基準点がずれている場合がある。これを測地系というが、GPSでは座標系を変換し多数の測地系で緯度・経度を表示できる事が多い。GPS受信機に直接緯度・経度を入力してナビゲーションする場合、測地系をあわせることにも注意したい。例えば日本測地系(Tokyo)とWGS84では、数百m程度の誤差がある(日本国内でも場所によって異なる)。 2002年4月1日、測量法及び水路業務法の一部を改正する法律の施行により、日本の緯度、経度の座標系が日本測地系(Tokyo)から世界測地系に変更され、米国独自の測地系であるWGS-84と大きな座標のずれはなくなった。 受信機側での信号処理には、さまざまな要因によるものが含まれるが、その中には、物理学の相対性理論による補正もある。高速で運動するGPS衛星の運動による発振信号の時間の遅れ(特殊相対論効果)と、地球の重力場による時空の歪み(一般相対論効果)である。後者は、衛星軌道の擾乱や信号到達距離の湾曲、発振信号の時間の遅れなどを引き起こす。 時間の遅れに関して簡便に要約すると、GPS衛星上の時計と地上の時計では、特殊相対論効果と一般相対論効果との双方の時間の遅れの影響を受けるということである。地上の時計は、まず、特殊相対論効果により、結果的にGPS衛星の時計より早く進むことになる。一方、地上での重力の影響が上空のGPS衛星より大きいので一般相対論効果により地上の時計は、逆にGPS衛星の時計より遅れることになる。このように特殊相対論と一般相対論における時間の遅れの効果が相反的に影響を及ぼすことになるが、結果的には地上の時計がわずかに遅れるので、GPS衛星の時計は、地上の時計の遅れを補正するため遅く進むように設計されている。